人体実験の暗黒の歴史 ナチからタスキギー、プエルトリコまで

2010/10/5(Tue)
Video No.: 
2
25分

医療の発展のためには人体実験にも必要悪の面もありますが、それを行うときには厳格な規制と医療倫理が要求されます。とくに披験者に対して、危険についての十分な説明をしたうえでの同意をとることは絶対に必要です。第二次大戦中のナチスによる生体実験や日本軍の満州第731部隊の行った実験への反省から、1947年のニュールンベルグ綱領は披験者の同意のない人体実験を「人道に対する罪」であると規定しています。しかし米国は、これをナチや日本軍のような野蛮な連中の行為であるとみなしたため、自国の医療研究の現場にそのようなことが起きるとは思ってもみなかったようです。

医学史家スーザン・レバビーが、米国の内外で行われた人体実験の歴史について語ります。
医療研究史を汚す3大研究としてバズビーが挙げているのが
1.知的障害児施設ウィローブルック州立学校で、子供たちに肝炎ウィルスを食事に混ぜたり注射したりした(1950年代、ニューヨーク)
2.ニューヨークのユダヤ人慢性疾患病院で患者に生きた癌細胞を注射(1960年代、ニューヨーク)
3.アフリカ系米国人の梅毒感染者399人を自然経過観察実験のため治癒せず病名も知らせずに観察(1930年代~70年代、アラバマ州タスキギー)

これに最近のグアテマラでの梅毒・淋病治療実験を加えれば4っつになります

ドキュメンタリー、Deadly Deception: The TuskegeeStudy(『死に至る偽り:タスキギー実験』)の抜粋も放送します 。(中野真紀子)

スーザン・レバビー(Susan Reverby)マサチューセッツ州 ウェルズリー大学教授で専門は女性・ジェンダー学。グアテマラに関する/研究はJournal of Policy History の2011年1月号に発表されル予定。タスキギーなど他の医療実験に関しても詳しく Examining Tuskegee: The Infamous Syphilis Study and its Legacyなどの著書がある

Credits: 

字幕翻訳:小田原琳/校正:永井愛弓
全体監修:中野真紀子/ウェブ作成:中森圭二郎