財政の戒厳令?ミシガン州住人 非常事態法に訴訟 

2011/6/23(Thu)
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財政危機を利用して、町をまるごと民営化?そんな可能性もはらむミシガン州の新しい非常事態法に反対し、住民が訴訟をおこしました。「財政の戒厳令」と呼ぶ人もいるこの新法では、財政難の市町村に、知事が非常事態管理者(emergency manager)と呼ばれる職員あるいは企業を任命し、管理に当たらせます。非常事態管理者は、公共財の売却や、労使契約の破棄、行政の民営化を行えますし、公選された人を解雇できます。決定に際し、民意を問う必要はなく、説明責任も負いません。

選挙で問われるはずの民意をないがしろにしかねない、こんな非常事態管理者任命の狙い撃ちに会うのは、低所得者や非白人のコミュニティ――地元の問題を処理する能力などない連中と言わんばかりに、住民の公民権を奪うのです。しかも、非常事態管理の職務を担うのは、個人でなく、企業でもありうるとされています。となると、この制度の究極の狙いは、民営化による企業のボロ儲け?市町村のまるごと民営化も可能なのですから。

ナオミ・クラインの「ショック・ドクトリン」―惨事につけこんで過激な市場原理主義改革を行おうとする試みを、あからさまに体現する、もうひとつの例の出現。デトロイトに長く住み、この訴訟の原告の一人であるエディス・リー=ペインと、ミシガン州に対して訴訟を起こした、モーリス&ジェイン・シュガー経済社会正義法律センターの法務主任のジョン・フィロファイロが、住民の危機感を語ります。(大竹秀子)

*ジョン・ファイロ(John Philo)モーリス&ジェイン・シュガー経済社会正義法律センターの法務主任
*エディス・リー=ペイン(Edith Lee-Payne) 非常事態法をめぐりミシガン州を提訴したデトロイト市民

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字幕翻訳:大竹秀子/校正:中野真紀子/サイト作成:丸山紀一朗