米連邦銀がベアー・スターンズ社を「救済」
今年3月、全米第5位の規模を誇る証券大手のベアー・スターンズが倒産の危機に追い込まれました。 ニューヨークの連邦準備制度銀行(FRB)が 300億ドルを注入して、ベアー・スターンズ社の高リスク資産を保証するという異例の措置をとり、JPモルガンがベアー・スターンズ社を買収したため、倒産の危機は免れました。 連邦銀行の権限がこれほど拡大されたのは、1929年の大恐慌以来初めてでした。
この出来事は、一般的には政府がベアー・スターンズ社を「救済した」と報道されました。 でも実は、ベアー・スターンズ社は「つまみだされた」のだと、ゲストのウォルフ氏とプリンズ氏は言います。 FRBはベアー・スターンズ社をスケープゴートとして廃業させることにより、同社の取引先、つまりウォール街、銀行業界全体を連鎖倒産の可能性から「救済した」のです。
FRBと財務省も、これにより「救済」されました。 監督官庁である彼らはベアー・スタンーズ社を廃業させることにより、みずからの落ち度を認めずにすみ、非難もされていないのです。 FRBは金融機関を規制する義務があります、それを怠ったことを認めようとせず、さらに大金を注入して、みずからの権限を拡大し、事態を悪化させていると両氏は批判します。(関房江)
*ノミ・プリンズ(Nomi Prins)元投資銀家で現在はジャーナリスト。以前ベアー・スターズ社の欧州分析チームを率いていた。 「他人のお金。 企業がアメリカの財布の盗む」(Other People’s Money: The Corporate Mugging of America) と「盗まれた: 保守派があなたのお金をスリとる」(Jacked: How “Conservatives” Are Picking Your Pocket) などの著書がある。シンクタンク、ディモスの客員研究員。
*マックス・フラッド・ウルフ(Max Fraad Wolff)経済学者でありライター。 ニュースクールの大学院で国際論の講師。ハフィントン・ポスト、アジア・タイムス、インディーペンデントなどに記事を掲載している。
字幕翻訳:関房江 校正:桜井まり子
全体監修:中野真紀子/高田絵里