ルゴ大統領 解放の神学、中南米と世界の現状と展望を語る

2008/9/23(Tue)
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2008年9月に開幕した第63回国際連合総会に参加した各国首脳のうちで、もっとも任期の浅いのは、前月に就任したばかりのパラグアイ大統領フェルナンド・ルゴ氏でした。60有余年にわたる保守コロラド党の永久政権に抗し、解放の神学を掲げて先住民と農民と貧民の戦いの先頭に立った「貧者の司教」ルゴ氏が大統領になったことは、ラテンアメリカの独立と統一を夢見つつ志半ばで倒れた英雄シモン・ボリバルの時代から2世紀を経て、ようやく米国の支配から逃れ、独立した主権国家として歩み始めた、今日のラテンアメリカを象徴する事件でもあります。

ルゴ大統領はニューヨークの滞在先ホテルでデモクラシーナウの取材に応え、今パラグアイでそしてラテンアメリカ全域で起きている潮流の背景と今後の展望、さらに地域と世界での米国の役割など、幅広く語りました。困難な状況の中でも、暴力を徹底的に否定し、継続対話を通じた問題解決に対話絶対的信頼をおく、と云う大統領の基本姿勢に、各国指導者は学ぶべきではないでしょうか。(斉木裕明)

参考:ルゴ大統領による総会演説(スペイン語と英語のみ)

*フェルナンド・アルミンド・ルゴ・メンデス(Fernando Armindo Lugo Méndez) 1951年生れ。1946年から継続する保守コロラド党の圧政、強硬な反共主義を掲げるストロエスネル軍事独裁政権のもとで、兄弟三人とおじの一人は国外亡命、父も度々逮捕されるという家庭に育ったルゴ氏は、路上の物売りなどをして働きながら学び、26歳で叙階。伝道先として派遣されたエクアドルで解放の神学に接し、社会活動に参画。1994年、パラグアイでも最も貧しいサンペドロ地区の司教に任命され「貧者の司教」として慕われた。大土地所有制度反対と汚職一掃を掲げて大統領選に出馬するにあたっては、還俗を願い出たが、教皇庁はこれを認めずに司教職一時停止の措置を取る。還俗は大統領当選後にようやく許可された。大統領選出の母体となった「変革のための愛国同盟」(La Alianza Patriótica para el Cambio、略称APC)は、コロラド党に次ぐ議会第二党の真正急進自由党を中心に、ルゴ氏の所属するキリスト教民主党など多くの小党、労働組合連合諸組織、農民運動組織などを加えた大統領選挙運動用の寄合い所帯で、内部に自由主義、キリスト教民主主義、社会民主主義、社会主義など様々な思想潮流を抱え込んでおり、また議会の多数派もコロラド党をはじめとする右派陣営に握られているため、今後の政権運営には不安も指摘されている。

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字幕翻訳:桜井まり子/校正:斉木裕明
全体監修:中野真紀子 高田絵里