議会の民主化こそが、すべての改革案件に先行 ローレンス・レッシグ

2010/2/5(Fri)
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ローレンス・レッシグ教授といえば、民主的で開かれたインターネットを守るためのさまざまな提唱を行ってきた、いわばネット世界のグルです。その彼が、ここへきて政治の世界に関心を移し、米国の議会制度を改革することこそ他のすべての民主主義の案件に先行すると指摘します。

「われわれの政府の中心には破綻した機関が存在している。議会だ。米国が直面する最大の問題は、財政の破綻ではなく政治の破綻だ。議会こそが現在のアメリカが抱える民主主義の諸問題の中心に存在しており、議会を変えないかぎりどんな変化も起こせない」と言い切ります。ネットのグルが、このような認識に至った理由を聞きましょう。

米国の議会制度の根本的な問題点は、その金権体質です。米国では議員の選挙資金を企業や業界など特定利益集団がまかなうことが公然と行われており、一人の議員に何人もの業界ロビイストがついているのがあたりまえとなっています。選挙報道の中心は、どの議員が、いくらの選挙資金を集めたかであり、資金の額が当落に直結します。

そのきわめつけとも言えるのが、最近の最高裁判決です。特定利益団体シティズンズ・ユナイテッドによる実質的な選挙資金供与をめぐる訴訟で、最高裁は無制限の選挙資金供与を認める判決を下しました。金で買える民主主義を公然と認めるこの判決は、レッシグのような多くの米国人を憤慨させています。(中野)

ローレンス・レッシグ(Lawrence Lessig) ハーバード大学ロースクール教授、非営利団体「チェンジ・コングレス」の共同創始者。ネイション誌に発表した記事は、 How to Get Our Democracy Back(我々の民主主義を取り戻すために)。

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字幕翻訳:川上奈緒子
校正全体監修:中野真紀子・付天斉