エジプト モルシ大統領解任 ふりだしに戻った民主化への道

2013/7/16(Tue)
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エジプト初の民主選挙で選ばれたモルシ大統領は2013年7月3日、軍部によって大統領を解任されました。アラブの春と呼ばれた2011年の民主化運動でムバラク大統領が追放されて2年。解任される直前の6月30日には、モルシ大統領の出身団体ムスリム同胞団の本部が襲撃されるなどエジプト全土でモルシ氏解任を要求する大規模なデモが起きていました。

モルシ大統領の在任中、主要産業である観光が低迷、失業率も2012年末に13%を超えていたのに加え、政権に批判的な活動家やジャーナリストを逮捕するなど強権的な政策への批判が高まっていました。形の上では民主的な選挙で選ばれたモルシ大統領に期待した国民の不満は高まる一方でした。

解任後、軍部はイスラム主義勢力の弾圧に乗り出し、2000人以上のムスリム同胞団のメンバーが拘束されたと報じられています。こうした弾圧に抵抗する同胞団やモルシ大統領を支持する人々と治安部隊の衝突は激化の一途をたどっています。オバマ大統領は対エジプト援助を継続するため、軍部によるモルシ大統領の解任を「クーデター」と表現するのを慎重に避ける一方で、対エジプト援助の見直しを発表するなどあいまいな態度をとっていましたが、10月に入り一部の武器供与と資金援助の停止措置を発表しています。

カイロ在住のシャリフ・アブドゥル・クドゥースはモルシ大統領の解任について、まともな生活を求める正当な国民の怒りが旧体制の支配層に利用されたと言います。エジプトでは軍部を賞賛するナショナリズムが台頭し、民主化への道はふりだしに戻ったとシャリフは言います。(桜井)

*シャリフ・アブドゥル・クドゥース(Sharif Abdel Kouddous) :デモクラシー・ナウ!の特派員。エジプトのカイロ在住。

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字幕翻訳:川上奈緒子 校正:桜井まり子