次のシリザ? スペインM15運動から生まれた反緊縮政党ポデモスの大躍進 党首パブロ・イグレシアスに聞く

2015/2/17(Tue)
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18分

2014年、反緊縮を掲げるスペインのポデモス党は、結党4か月にして欧州議会議員選挙で5議席を獲得しました。スペイン二大政党の国民党と社会労働党は前回選挙時よりそれぞれ250万票以上を失い、大敗を喫しました。結党から1年を経たポデモス党の党首、パブロ・イグレシアス氏をゲストに迎え、民衆に焦点を当てた政策について聞きます。

スペインは、2008年の世界金融危機の波及で不動産バブルの崩壊を受け、長期の景気低迷の局面にあります。欧州連合に銀行救済支援を取り付けて以来、追加緊縮政策や厳しい経済改革を余儀なくされ、給与削減、労働法の緩和、社会保障削減、付加価値税(消費税)引き上げなどにより市民生活は圧迫され、失業率は25%を超えました。

金融権力に逆らえない二大政党への不満が表面化したのが、統一地方選挙投票日を1週間後に控えた2011年5月15日の「インディグナドゥス(怒れる者たち)運動」です。後に、ニューヨークを始め、世界各地で発生する占拠運動の先駆けとなりました。スペインの首都マドリード中心部にあるプエルタ・デル・ソル広場に向かったデモ参加者は5万人に上り、到着地点の広場では、変革を求めた集会が始まりました。その後も続く広場の占拠で、集会は組織化され、同様の動きがスペイン各地に拡大していきます。この運動は80%の市民に支持されましたが、同年11月の総選挙では財政再建と緊縮政策を掲げる国民党が政権を奪回します。この議会制民主主義に民意は反映されているのか、という疑問からポデモス党は誕生しました。現在、ポデモス党支持者による市民組織「サークル」が世界中に点在し、政府への要求を話し合いによって採択していく直接民主主義を実践しています。

2015年5月の地方選挙、11月の総選挙を控える中、ポデモス党は直近の世論調査で、与党の国民党に対してリードを拡大しています。ソーシャルネットワークでインディグナドゥス運動を呼びかけた「¡Democracia Real Ya!(今、真の民主主義を)」に呼応した民衆が求める市民社会がポデモス党によって実現するのか、注目が集まっています。(山下仁美)

☆ 番組の最後のところでニューヨーク市立大学で行われた講演会に言及していますが、こちらの模様は雑誌『世界』7月号に掲載予定です。動画はこちら 二大政党が有権者に退場を宣告され、従来とはまったく異なるかたちで市民の声を代表する政党が出現したスペイン。ぜひ、お手にとってみてください。

*パブロ・イグレシアス(Pablo Iglesias) ポデモス党書記長。元マドリード・コンプルテンセ大学の政治学教授で、2014年5月にポデモスから欧州議会議員選挙に当選して欧州議会議員となり、11月に党首に就任

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字幕翻訳:朝日カルチャーセンター横浜 字幕講座チーム
千野菜保子・仲山さくら・水谷香恵・山下仁美・山田奈津美・山根明子・渡邊美奈
全体監修:中野真紀子