オカシオコルテスの「未来からの伝言」 グリーン・ニューディールが変えた世界

2019/4/18(Thu)
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28分

グリーン・ニューディールは、連邦政府による大胆な再エネ投資と大規模な雇用の創出によって迅速に経済システムを転換させ低カーボン社会を実現しようという民主党の政策です。2030年までにゼロ炭素社会を実現させるという意欲的なグリーン・ニューディール決議案が、2019年2月に議会に提出されましたが、民主党内でも賛否が分かれ否決されてしまいました。しかし法案提出の立役者となった新人議員アレクサンドリア・オカシオコルテスを主役にしたアニメ『未来からのメッセージ』がオンラインサイト『インターセプト』から発表されると、24時間のうちに4百万人がアクセスし、大きな反響を呼びました。このアニメ動画を紹介し、制作に携わったアーティストや脚本家の話を聞きます。

この映画が多くの人々の心に刺さった理由は、これまでさんざん描かれてきた残酷な未来像、黙示録的なディストピアではなく、そこに住みたくなるような美しい未来社会を見える形で示し、そこに導く解決策を説得力をもって提示したからだと、ナオミ・クラインは言います。「人は見えないものにはなれないが、見る勇気さえあれば何にでもなれる」、目標が明確になればおのずと潜在的な政治力が動き出します。だから最初の大きな一歩は、目を閉じて想像することなのだと。そこで大きな役割を果たすのは、理想の未来を視覚化してくれる芸術家です。

アニメ制作を担当したモリー・クラブアップルは、これまでも政治社会問題にコミットした映像作品をつくり、麻薬撲滅運動と人種差別的な法執行に人々の意識を向けさせるなど、実際に世論に影響を与えてきました。女にとっては、それが芸術家の大きな役割です。「アートは長い間世界から切り離されてきました。標本箱の蝶のように美術館に閉じ込められて、死んだもののように扱われています」。日本では政治色のある作品を忌避する傾向が強まっているようですが、芸術だけの狭い世界に作品を閉じ込めておこうとするのは芸術の持つ潜在的な力への恐れなのかもしれません。(中野真紀子)

*モーリー・クラブアップル(Molly Crabapple):アーティスト、作家。 award-winning artist and writer. アビ・ルイス(Avi Lewis):ジャーナリスト、映画作家。気候、格差、人種差別の複合危機に対処するための団体「リープ」(The Leap)の共同設立者

Credits: 

字幕翻訳デモクラシー防衛同盟(千野菜保子・仲山さくら・水谷香恵・山下仁美・山田奈津美) 全体監修:中野真紀子