「水色の約束」 モード・バーロウと水の正義を求めるグローバルな運動
水はタダでいつでも必要な時には永遠にあるものだと私たちは思っています。水はどこから来るのかを考えたことはありません。 「そんな時代は終わった」とモード・バーロウは言います。カリフォルニア州では20年以内に、ニューメキシコ州では10年以内に、今ある水を使いつくしてしまいます。米国では水の大きな供給源だった、五大湖やコロラド川でも水が不足しており、世界的に有名なナイル、黄河などの大河も水不足のため、川が海まで流れて行っていないことを皆さんはご存知だったでしょうか? 人間は水なしでは2~3日しか生きていかれません。その大事な水を軽んじてきた結果、いま私たちは人類の歴史で最大の危機に直面しているのです。原因は気候変動です。しかしそれ以上に、水の汚染と水管理の失敗により、水の本来の循環を止めてしまったことが大きな原因です。
そこに参入してきたのが大企業です。いまでは石油のように水のカルテルをつくり、水を私有化し、水を必要としている第三世界の人々に使わせない。 グローバルレベルの「水の産業」はいまや、石油、電力に次ぐ4000億ドルという大産業となっています。20年内には経済成長の2~3倍の速さで成長すると予測されており、多くの投資家が目をつけています。水は石油と同じもう一つの資源として、採取され、売られる対象となっているのです。 それがこのグローバルな「水の危機」をさらに悪化させています。
それに対して水の公共性を取り戻そうとする、公正化運動も世界各地で起こっています。これは水の分野の「不都合な真実」です。(関房江)
★ ニュースレター第24号(2010.1.10)
ゲスト: モード・バーロウ(Maude Barlow) カナダ最大のアドボカシー団体「カナダ人評議会」の議長で、「ブループラネット・プロジェクト」の創設者。『BLUE GOLD―独占される水資源』や『"水"戦争の世紀』など著書多数。もうひとつのノーベル賞として知られるスウェーデンのライト・ライブリフッド賞(Right Livelihood Award)も受賞している。最新書はBlue Covenant: The Global Water Crisis and the Coming Battle for the Right to Water(『水色の約束:グローバルな水資源の危機と水への権利をめぐる新たな闘争』)です。
字幕翻訳:小田原琳 / 校正:斉木裕明
全体監修:中野真紀子